【日本人の配偶者等 | 配偶者ビザ許可のポイント-2】日本にいる外国人が、配偶者ビザに変更する場合
July 26 2023 Updated
このページでは、在留資格を得た上で日本で生活をしている外国人が、結婚をきっかけに在留資格を「日本人の配偶者等」に変更するの要件や必要書類についてご説明させて頂きます。
なお、日本で生活している外国人とは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働いている方や、「留学」の在留資格で大学に通っている方などを想定しており、観光や短期滞在で来日した外国人は含みません。
短期滞在ビザで日本にいる外国人が在留資格「日本人の配偶者等」を取得するためには、原則的には一度出国後、「在留資格の認定」を申請し、許可を得る必要があります。
目次
在留資格「日本人の配偶者等」とは?
いわゆる配偶者ビザ(海外ではSpouse Visa、Marriage Visaなどとも表現されます)に該当する在留資格/ビザが「日本人の配偶者等」と呼ばれる在留資格です。
「等」という表現になっているのは、「日本人の配偶者」だけではなく、「日本人の子として生まれたが、諸事情で外国人国籍の方」や「日本人の特別養子となった外国人国籍の方」も含まれる在留資格/ビザだからです。
なお、特別養子は含まれますが養子は含まれません。また、外国人配偶者の連れ子の場合は、「日本人の配偶者等」ではなく「定住者」の在留資格の申請となりますので、その点も注意が必要です。
「日本人の配偶者等」は、就労活動に制限のない在留資格
「在留資格 日本人の配偶者等(配偶者ビザ)」は、他の「就労資格(就労ビザ)」と異なり、日本における活動に制限のない在留資格です。
アルバイトでも正社員でも、日本人と同様に一切制限なく就労することができますし、転職も自由です。
在留期間は?
「日本人の配偶者等」の就労ビザ/在留資格で在留可能な期間は、
6ヶ月、1年、3年、5年
です。
最初は1年の在留期間で許可され、その後更新時に3年や5年の許可がもらえるケースが多いです。
配偶者ビザの取得はなぜ難しいのか?
配偶者ビザを取得した外国人は、日本における活動に制限のない、とお伝えしましたが、残念ながら一部の心無い方がこの在留資格を悪用し、日本で就労の権利を得るために偽装結婚をするケースが存在するため、現在、出入国在留管理庁では厳しく申請をチェックしています。
婚姻に対して疑いの目でチェックしている審査担当者を納得させるためには、申請者自らが、真実の婚姻である事を証明する客観的証拠を丁寧に積み上げていく必要があります。
まずは婚姻手続き、それから配偶者ビザの申請
婚姻手続きと配偶者ビザの手続きは異なります。
婚姻手続きの完了とは、あくまでも国に結婚の報告を届け出た状態であり、配偶者の外国人が配偶者として、日本に在住する許可を得たわけではありません。
日本と、外国人配偶者の国、それぞれの国で婚姻手続き完了後、配偶者ビザの申請が必要です。
※一部の国/地域で例外はございます。
国際結婚における婚姻届けの一般的な流れ
両方の国で婚姻手続きを完了させるということは、日本の法律上でも、外国の法律上でも、有効に婚姻が成立しており、かつ、多くの国の場合、それぞれの公的機関に届け出が必要です。
日本および海外の両国で婚姻届けを提出する場合、
という2パターンが考えられます。
すでに外国人配偶者の方が日本にいらっしゃる場合は「A」のパターンで進める方が多く、外国人配偶者の方が海外にいらっしゃる場合は「B」のパターンで進める方が多いです。
どちらが先じゃないといけない、というルールがあるわけではありません。
Aのパターン: 「日本方式の婚姻」から進める場合
日本の公的機関(役所)に婚姻届けを提出後、日本国内にある外国人配偶者の国の大使館や領事館で婚姻届けを受理してくれるケースもあれば、大使館や領事館では受理してくれないため、外国人配偶者の国の公的機関に書類を提出する必要があるケースもあります。
この2つのケース以外にも、米国のように外国の法律に則って行なわれた婚姻の手続きを国内でも法的に有効とみなす国の場合、日本の役所で婚姻届けを提出した場合は、他国への届出は不要となります。
Bのパターン:「外国方式の婚姻」から進める場合
外国人配偶者の国の公的機関(役所等)に届け出してから、その後現地の日本大使館/領事館、もしくは日本の公的機関(役所)に婚姻報告の届け出を提出します。
婚姻要件具備証明書(独身証明書)とは?
外国人と日本人の結婚の場合、役所に婚姻届けを提出したとしても、担当者はすべての国の婚姻制度に精通しているわけではありませんので、その外国人の方が法的に結婚して問題ないのかどうか、判断がつきません。そこで必要となってくるのが、婚姻要件具備証明書(独身証明書)と呼ばれる書類です。
外国人が独身であることや、外国人の国の法律で、結婚することに問題がないことをこの書類で証明します。
Aのパターン「日本方式の婚姻」から進める場合は、婚姻届け提出の前に、外国人の婚姻要件具備証明書(独身証明書)の取得が必要です。外国語の証明書であるため、日本の役所に提出する際は翻訳が必要です。
なお、国によっては婚姻要件具備証明書(独身証明書)の発行する制度がない場合がありますので、その場合は婚姻要件具備証明書(独身証明書)に代わる書類を用意する必要があります。
Bのパターン「海外方式の婚姻」から進める場合は、婚姻届け提出の前に、日本人の婚姻要件具備証明書(独身証明書)の取得が必要です。
婚姻要件具備証明書の発行機関,各機関で取得するとき必要なもの,必要となる認証等は,以下の表をご確認ください。
認証の要否等は、各国により異なります。詳しくは,提出先の国の在日大使館・領事館等にお問い合わせいただく必要があります。
出典: 法務省 国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A
婚姻届け後、外国人配偶者の戸籍はどうなる?
日本の役所に婚姻届けが完了しても、外国人配偶者は日本国籍ではないため、日本において戸籍を作ることはできません。
その代わり、日本人配偶者の新しい戸籍が作られ、外国人配偶者の情報が追加されます。戸籍の「身分事項」欄の「婚姻」という所に、配偶者の氏名・国籍・生年月日が記載されます。
外国人と結婚した場合、名字はどうなる?
国際結婚の場合、名字は当然には変わりません。
申請をしなければ、お二人とも、これまで通りの名字を名乗ることになります。名字を変更するには、下記の手続きが必要です。
日本人が外国人の名字に変更する場合
外国人と婚姻しても日本人の名字(氏)は当然には変わりません。
外国人の苗字(氏)を名のりたい場合には、婚姻の日から6か月以内に、市区町村の戸籍届出窓口に氏の変更の届出をすることで、外国人配偶者の氏に変更することができます。
婚姻の日から6か月が過ぎている場合には、家庭裁判所の許可を得た上で、戸籍届出窓口に氏の変更の届出をする必要があります。
外国人が日本人の名字に変更する場合
外国人は日本人のように日本に戸籍があるわけではないため、戸籍上の名前の変更はできません。その代わり、「通称名(通名)」という制度を利用して同一姓を名乗ることができます。
通称名は本名以外で法的効力を持つ名前の事で、市区町村の役所で申請が行うことができ、申請後は住民票に本名と通称名が併記登録されます。
配偶者ビザの要件を満たすための3つのポイント
配偶者ビザを満たすための主な要件は次の3つです。
法律上の婚姻関係があるか
日本で婚姻届けを提出するだけではなく、外国人配偶者が籍を置く国や地域の法律に従い、両国で正式に婚姻関係があることが必要です。
ご夫婦が真実の婚姻関係にあるか
ほとんどのご夫婦は真実の婚姻関係にある事に間違いはないのですが、一部の心ない人たちの偽装結婚が絶えないために、入管の審査は「結婚の正当性」に疑念を持つ所からスタートします。真実の婚姻関係だとしても、入管が疑わしいと判断する材料があるだけで不許可になることも少なくありません。
お二人の出会い、お互いが惹かれた理由、共通の趣味や価値観、結婚に至るまでのデートの内容などを申請理由書や質問書などの提出書類に事細かに書く必要があります。
結婚の当事者であるお二人に結婚までの経緯を書面で提出するだけでは、真実の婚姻関係であることを裏付ける客観的な証拠であるとはいえません。なぜなら、偽装結婚の場合でも、文面上ではなんとでも嘘を書けてしまうからです。
第三者である入管の担当者に真実の婚姻である事を証明するためには、交際期間中のお二人のデート写真、友人や家族を招いた結婚式の写真、Whatsapp、WECHAT、LINE、Skype、Facebookなどのやりとりのプリントアウト、外国人配偶者が海外にいた場合はお二人の渡航履歴、などを提出する必要があります。
そんなプライベートの事まで提出するの?と気分を害される方もいらっしゃるかもしれませんが、偽装結婚を防ぐために日本に限らず他国でも配偶者ビザ取得の際には審査が厳しいのが実情です。
出会ってから、どこでいつデートをし、写真を撮ったか、事細かに覚えている方はあまりいらっしゃいません。昔の写真を見て、そういえば、あんな場所にいったな、と思い出す方のほうが多いはずです。プリントアウトされている写真以外にも、携帯カメラのデータ、SNSに投稿した写真などを掘り起こして、客観的な証拠となる交際の事実を積み上げ行く事が、配偶者ビザの取得の重要なポイントです。
継続的かつ安定的な収入が見込まれること
真実の婚姻でお二人で日本で生活をスタートする上で不可欠なものが継続的かつ安定的な収入です。
収入がないが故に犯罪に手を染める外国人が出てくる事を入管は懸念しているため、これからお二人が日本で生活していく上で必要な生活費をどう賄っていくのかも重要な審査ポイントのひとつです。
なお、日本人配偶者の収入だけが配偶者ビザの要件というわけではありません。日本人配偶者の収入もしくは外国人配偶者の収入、どちらでも構いませんが、これから夫婦で生活していけるだけの継続的かつ安定した収入が必要です。
お二人とも海外にいたため日本での収入がないという場合は、お二人の預貯金や不動産などの財産を書面で提出し、当面の生活費が賄える事をアピールしたり、日本での就職先が決まっている場合は、勤務先の会社から給料などを記載した内定通知書を提出する必要があります。それも難しい場合は、生活が安定するまでの間、ご家族や親族の方から金銭的援助がある事を書面で立証する、などの手段も考えられます。
都市部や地方、持ち家か賃貸かなどで必要となる生活費は異なってくるのですが、世帯収入が300万以下の場合は、不許可になるリスクが高まると言えます。
入管は何よりも虚偽の申告を嫌いますので、書面はすべて正直に事実を書いてください。
このような時、審査は厳しくなります!
近年、芸能人の「年の差婚」をよく目にすることが多くなり、年齢差のあるご夫婦も珍しくなくなってきましたが、年齢差が大きい(特に15歳以上離れている)ご夫婦は審査がより厳格になる、といわざるをえません。これまで入管の審査上、年の差のあるご夫婦がじつは偽装結婚だったケースが多かったためです。
リクルートブライダル総研の調査によると2021年の婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人は15.1%を占めていたそうです。婚活サービスの需要が拡大する一方、偽装結婚を目的に婚活サービスに登録する外国人の方も一定数いらっしゃるため、審査が厳しくなる傾向がございます。
スナックやインターナショナルクラブ、もしくはホストクラブなどで出会い、国際結婚に至る場合も審査は厳格になります。こちらも残念ながら、偽装結婚のケースが多いためです。
2022年のゼクシィ結婚トレンド調査では、日本人が付き合って結婚するまでの平均期間は3.4年だそうです。ご夫婦によって、結婚までの歩みは異なって当たり前なのですが、出会いから結婚までがいわゆるスピード婚、具体的には半年以内の場合、どのような経緯で短期間で結婚に至ったのか、厳しく審査される傾向にあります。
これから結婚するご夫婦が、これまでの交際期間、そして今後の夫婦生活の中でどのような言語でコミュニケーションを取っていくのかは重要な審査項目のひとつです。日本語以外(外国人配偶者の母国語や英語などの第三言語)でコミュニケーションが流暢に取れているのであれば問題がないですが、お互いの言語でコミュニケーションはおぼつかないけれど、ボディランゲージでやりとりしている、という状況では不許可になるリスクが高まります。
以前国際結婚していて過去に離婚歴がある、税金の未納を続けている、過去に不法滞在歴がある、など行政側が把握しているお二人の履歴に問題があるときも不許可になる確率は高まります。
先ほどお伝えした通り、世帯収入が300万以下の場合は、審査が厳しくなります。預貯金、ご家族、ご親族の方の援助などの証明書類を追加で提出する必要があるかもしれません。
申請の流れ
外国人配偶者の方が短期滞在以外の在留資格で3か月以上日本に滞在している場合、現在の在留資格、例えば「技術・人文知識・国際業務」「留学」「技能」「技能実習」などから「日本人の配偶者等」(通称配偶者ビザ)への変更手続きが必要です。
外国人配偶者の方が短期滞在(観光や親族訪問等)の在留資格で3か月以内の滞在予定の場合、原則一度帰国してから新規で在留活動「日本人の配偶者等」(通称配偶者ビザ)の認定申請が必要です。帰国せずに観光ビザから切り替えしたい場合は、詳しいヒアリングが必要となりますので、一度ご相談ください。
以下、現在の在留資格から変更する際の流れです。
1. 必要書類を入管に提出
それぞれの国で婚姻届を完了後、必要書類を集めて出入国在留管理庁(通称入管)に対して在留資格の変更申請を行います。
*必要書類の詳細はこの後に説明いたします。
出入国管理審査庁 (以前の入国管理局)
2. 審査期間
在留資格変更の場合、入管が発表している審査期間の目安は2週間~1か月ですが、状況によってはもう少しかかる場合もございます。
追加資料など求められた場合は、すぐに対応できるようにしましょう。
3. 結果の通知
許可、不許可の結果は、通常ハガキにて申請者や行政書士などの申請取次者に通知されます。
在留資格の「変更」の場合、ハガキに許可、不許可は明示されておらず、入管に出頭する必要がありますが、ハガキの記載内容で許可、不許可はある程度推測できます。
ハガキの手数料の該当箇所にチェックマークがつけられる場合、手数料を払う必要があるということで、ほぼ100%、許可で間違いありません。
不許可の場合は手数料に関する記載はなく、出頭してほしい旨だけ記載してあります。
ハガキを郵送した段階で、許可か不許可か明示しない理由としては、在留資格変更の申請の場合、申請者が国内にいるため、不許可が分かった段階で逃走する恐れがあるため、と言われています。
ご参考までに新規で在留資格の「認定」を得る申請の場合、申請人はまだ海外にいるため、許可、不許可は郵送の書類で国内の申請者に伝えられます。
(申請人が海外にいるため逃亡のリスクがないためです)
なお、入管で不許可を伝えられた場合、丁寧に不許可理由を探る必要があり、リカバリーの可能性をさぐりながら再申請の準備を進めます。
4. 変更後の在留カードの受け取り
ハガキ、パスポート、現在の在留カードを持って入国管理局に行き、手数料4,000円を収入印紙で納付します。
現在の在留カードと引き換えに新しい在留カードを受け取り、これで在留資格変更の作業は終了です。
料金はいくらかかるの?
料金はこちらのページをご確認ください!
申請に必要な書類
お二人でご用意いただく書類
日本人配偶者にご用意頂く書類
*申請人との婚姻事実の記載があるもの。
*発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
*1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
*1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば,いずれか一方でかまいません。
*発行日から3か月以内のもの
*個人番号(マイナンバー)については省略し,他の事項については省略のないものとするようお願いします。
*発行日から3か月以内のもの
外国人配偶者にご用意頂く書類
*申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
*写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼付して下さい。
*1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
*1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
*申請人が韓国籍等で戸籍謄本が発行される場合には,お二方の婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本の提出でも差し支えありません。
*翻訳文付
*日本語能力検定試験の書類など
お二人の真実の婚姻を裏付ける書類
申請から許可までどれくらい?
在留資格変更の場合、入管が発表している審査期間の目安は2週間~1か月ですが、状況によってもう少しかかる場合もございます。