「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」、どちらで申請するべき?
December 25 2024
「技術・人文知識・国際業務」とはオフィスワーカーにとってもっとも一般的な就労ビザです。日本にオフィスを構える企業との契約に基づき、就労を行うことを前提として就労ビザの申請ができます。
許可の要件などを説明するとかなり長くなるのですが、分かりやすくいうと大学等で得た専門知識をベースとしたオフィスワーカー向けの就労ビザです。
2025年現在、申請から許可までは1~4か月程度とかなり審査期間の幅があり、申請人の経歴や所属機関となる会社の情報をもとに、在留期間は1年・3年・5年のいずれかに入国管理局が決定します。
在留資格「高度専門職」とは?
日本の学術研究や経済の発展に寄与することが見込まれる高度の専門的な能力を持つ外国人の受入れをより一層促進するため、2015年からスタートしたのが高度専門職ビザです。
学歴・ 職歴・年収等の項目毎にポイントを付け、その合計が70点以上に達した人に許可されます。
高度専門職ポイント計算表のサンプル
高度専門職ビザは1号と2号の2種類があり、1号は研究者向けの高度専門職1号イ、ビジネスパーソン向けの高度専門職1号ロ、経営者向けの高度専門職1号ハの3種類があります。
高度専門職1号イ(研究者向け)
高度専門職1号ロ(ビジネスパーソン向け)
高度専門職1号ハ(経営者向け)
高度専門職2号は、高度専門職1号で3年以上活動を行っている方が対象となるビザです。
高度専門職2号
なお、高度専門職の申請は優先的に処理する、とガイドラインに記載されているものの、2025年現在、審査期間は「技術・人文知識・国際業務」と同様、1~4か月程度かかっております。
高度専門職で申請し許可された場合、在留期間は自動的に5年がもらえます。
高度専門職の申請をするメリットとは?
「技術・人文知識・国際業務」の場合、入国管理局の審査を経て、在留期間が1年・3年・5年と決定するのに対し、高度専門職の場合は許可の場合、自動的に5年が決定されますので、まずはこの点で「技術・人文知識・国際業務」と異なります。
また、ある程度の条件を満たせば、7歳未満の子供の面倒をみてもらうために両親を特定活動34号という在留資格で招聘できることもメリットの1つです。
高度専門職の許可時にはポイント計算結果通知書をもらえ、70点~80点未満なのか、80点以上なのか、を知ることができることもメリットの1つでしょう。
ポイント計算通知書のサンプル
もし70点~80点未満という通知を受けた場合は、高度専門職ポイント計算を用いて、3年後には永住申請できる可能性があり、80点以上という通知を受けた場合は1年後には永住申請できる可能性があるという目安になるからです。
このほかにもいくつか高度専門職のビザを持つメリットはあるのですが、かなり長くなってしまうので、この記事では省略させて頂きます。高度専門職のビザのメリットについては法務省のコチラのウェブサイトをご参照ください。
高度専門職のデメリットとは?
「技術・人文知識・国際業務」と異なり、所属機関に紐づく在留資格であるため、勤務先が変わった場合、もう一度在留資格変更申請を行う必要が発生するのがデメリットの1つです。
例えばAという会社で働いていたときに高度専門職の在留資格を取得しており、その後Bという会社に転職した場合は、改めてBという会社に紐づく高度専門職の在留資格の申請を行う必要が出てきます。
また、高度専門職の在留資格をお持ちの方については、副業が認められる余地はあるのですが、原則的に所属機関に紐づく在留資格であるため、副業を行う際にも注意が必要です。
業務内容自体が「高度専門職」に該当する業務だったとしても、資格外活動許可を取得しておいた方がいい場合もあるため、注意が必要となります。
高度専門職のポイント計算を用いて永住申請を行うためには、高度専門職のビザの取得が必要?
よくお客様から、高度専門職のポイント計算を用いて永住申請を行いたいので、高度専門職のビザを取得したい、という相談を受けます。
高度専門職のポイント計算を用いた永住申請には2パターンあります。
まずは高度専門職の在留資格を持っている方が申請する場合。前述の通り、70点以上を過去3年間キープしているか、もしくは80点以上を過去1年間キープしていれば、永住申請における高度専門職ポイントの要件は満たすことになります。
また、高度専門職のビザを取得しなくても、「技術・人文知識・国際業務」「教授」「研究」などの在留資格をお持ちの方でも、ご自身でポイント計算の証明ができるのであれば、高度専門職のポイント計算を用いた永住申請は可能です。こちらも70点以上を過去3年間キープしているか、もしくは80点以上を過去1年間キープしていれば、永住申請における高度専門職ポイントの要件は満たすことになります。
「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」どちらで認定証明書の交付申請をした方がいいのか?
高度専門職のメリット、デメリットをお伝えさせて頂きましたが、結論としては、オファーを出してくれた会社側と相談の上で決定するしかありません。
「高度専門職」の申請は「技術・人文知識・国際業務」よりも提出書類も多いため、最初の来日時には「技術・人文知識・国際業務」の申請しか認めないという会社もけっこうあります。
このような場合は来日後、改めて「技術・人文知識・国際業務」から「高度専門職」への申請を行うということも可能です。
来日時のビザ申請の注意点
この記事を読んでくれているみなさんが、将来的な永住申請を検討している場合、最初のビザ申請時に注意して頂きたい点があります。申請時にみなさんの母国における職歴を書く欄があるのですが、この欄に関してはもれがないように正確に記入するようにしてください。
そしてできれば来日時に職歴を証明するレターをもらっておくようにしましょう。
ビザサポートをしてくれる会社にとっては、ビザが取得できれば問題がないため、申請書の書き方について1から10まで丁寧に説明してくれるわけではありません。しかし、みなさんのビザ申請の申請内容の記録はずっと入国管理局に残ることになります。
来日後、高度専門職ポイント計算に基づく永住申請を行った際に、過去の職歴に応じてポイント計算をすることになるのですが、永住申請時と過去の申請時で異なる職歴が記載されていると、入国管理局はどちらの記録が正しいのか分からずに慎重に審査されることとなります。また、もしかしたら、記載した職歴に疑いの目を向けられることになるかもしれません。
将来的に高度専門職ポイント計算を用いて永住申請を検討している方は、来日時から注意が必要となります。もしご不安な点がありましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
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