【帰化って?】帰化についてイチから知りたい方へ
August 24 2023 Updated
このページは、「帰化」の申請を検討している方向けに、日本における帰化申請に関して、最初に知っておいてほしいことをまとめたページです。
帰化とは、日本の国籍を取得し、日本人になることです。
他の日本人と同じく、日本国籍のパスポートを持つことになります。英語ではnaturalizationと言われます。
帰化と永住の違いは?
分かりやすく書くと、日本国籍を取得せずに「外国人」のまま、無期限に日本で安定した生活を過ごす事ができるのが「永住」であるのに対し、日本国籍を取得し、国籍上の「日本人」になるのが「帰化」です。
在留資格上「永住者」のパスポートは海外のパスポートですが、帰化した方は日本のパスポートを得る事になります。
帰化したら元々の国籍はどうなる?
日本では原則的に二重国籍は認められていないため、帰化申請のプロセスの中で、元々の国籍から離脱する必要があります。
元々の国籍を離脱する手続については、各国によって異なりますので、日本に駐在する大使館に事前に確認しておく必要があります。
帰化の要件は?
日本に5年以上住んでいて、このうち3年以上働いていること
在留資格を持ち続けて日本に5年以上住んでいることが、まず最初の条件です。そして、ただ日本に5年間住んでいるだけでは、その後日本で安定的な生活をしていけるかどうかわからないため、5年中、3年以上は就労可能な在留資格をもち、フルタイムで働いていることが条件となっております。
なお、10年以上日本に住んでいた場合、就労の条件は3年以上から1年以上になります。つまり、9年間「留学」の在留資格だったが、直近1年間は「技術・人文知識・国際業務」で働いていたという方でも、この要件を満たすことになります。
年齢が18歳以上、かつ本国の成人年齢という条件を満たしていること
2022年4月1日から日本の法律が改正され、これまで20歳以上であった成人年齢が、18歳以上に変更となりました。
ただ、18歳以上であればいい、というわけではなく、本国の成人年齢を満たしていることも条件となります。
素行が善良であること
これまでの犯罪歴の有無、交通違反の有無、納税状況などから総合的に審査されます。
独身の場合、年収300万円以上
帰化を許可し、日本人になった後、お金がなくて日本で生活ができない状況は望ましくないため、生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけるだけの収入や資産があることが求められています。
独身の場合は、年収300万円以上あることが望ましく、家族が増えるにつれ、求められる年収額も上がっていきます。
日本語能力N-3レベル以上
永住申請の場合、日本語能力は許可要件として求められてはいませんが、帰化の場合は日本人としてこれから生活していくだけの最低限の日本語能力が求められます。一般的には小学校3~4年生程度の日本語能力が必要と言われており、日本語能力試験のレベルで言うと、N-3程度のレベルが求められます。
帰化の場合、書類審査だけではなく、面接もあるため、この時に「聞く」「話す」だけではなく、「読む」「書く」の日本語能力もチェックされることが多いです。
原則として帰化によって本国の国籍を喪失すること
前述の通り、原則として帰化によって本後の国籍を喪失することが必要です。
ただ、国によっては、申請する外国人ご本人の意思によって本国の国籍を喪失することができないケースもあり、この場合は、本国の国籍を喪失せずに帰化が許可になる場合があります
上記はもっとも一般的な、単身者で就労ビザを持っている方が帰化申請する場合の条件です。
日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた方、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の条件を満たす方)については、上記の条件が一部緩和されます。
日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた方、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の条件を満たす方)については、上記の条件が一部緩和されます!
税金の支払い遅れがあるとどうなる?
永住申請の場合、住民税、健康保険、年金の支払い遅れがあると大きな問題になりますが、帰化に関しては、過去1年~2年分、申請時点までに支払っていれば、許可をもらえる可能性もございます。
税金の未納や支払い遅れがある方は、まずはご相談ください!
出国が多い場合は、不許可になる?
在留資格を持ち続けて5年以上日本に在留していた場合でも、出国日数が多い場合は注意が必要です。一般的に過去5年間のうち、100日以上出国している年があると不許可のリスクがあると言われていますが、100日以上出国していた場合でも会社の出張でやむを得なかった場合には認めてもらえるケースもございます。
ただの出国の事実だけではなく、申請する外国人の方の在留年数や、生活実態が日本にあると思われる事実などから総合的に判断されることとなります。
「話す」「聞く」だけではなく「読む」「書く」も忘れないで!
2022年に許可された帰化申請件数は7059件でしたが、このうち、韓国朝鮮、中国の方の申請件数は4925件でじつに70%を占めています。
Country Name | Number of Approval | |
1 | Korea | 2663 |
2 | China | 2262 |
3 | Vietnam | 360 |
4 | Brazil | 340 |
5 | Philippines | 217 |
6 | Peru | 185 |
7 | Nepal | 139 |
8 | Bangladesh | 125 |
9 | Sri Lanka | 80 |
10 | Pakistan | 75 |
11 | Others | 613 |
Total Approval | 7059 |
法務省資料 国籍別帰化許可者数
そもそもが在日外国人の比率をみると、東アジアにルーツを持つ方の割合が高いことは事実なのですが、帰化の要件の一つである日本語能力に関して、漢字に親しみのある東アジア出身者たちのほうが日本語を覚えやすいということは言えるでしょう。
帰化の面接時には「話す」「聞く」だけではなく、「読む」「書く」能力があるのか、テストされることがあります。当事務所のお客様の中にも、「話す」「聞く」は問題なくとも、漢字を読んだり、ペンを使って日本語を書くことを苦手としている方は少なからずいらっしゃいます。
日本語能力は帰化には必須ですので、事前に勉強や模擬面接などを行い、準備をしておくことをお薦めします。
帰化申請に必要な書類は?
帰化に必要な書類の一例は、以下の通りです。
※個々で必要な書類は異なります。
これらの書類に関して、正しい日本語で書類をつくり、それぞれの情報を証明する資料の提出が必要となります。
大学の卒業証明書、出生証明書、両親の結婚証明書、兄弟の出生証明書などは本国から取り寄せる必要があるかもしれません。そして、日本語以外の資料に関しては、すべて翻訳文の提出が必要となります。
すべての資料をそろえ、原本とコピー、申請書類と副本も用意すると合計で200枚~400枚程度の書類になることが一般的です。
これらの必要書類を集め、間違いがないかひとつひとつ確認し、翻訳をつけて一人で準備することは、大変な労力と時間を必要とします。
帰化申請の流れは?
帰化申請の流れは以下の通りです。
管轄の法務局に事前にアポイントメント
お客様からのヒアリング後、必要書類の作成、準備と並行して、管轄の法務局に帰化申請の予約を取ります。
法務局の国籍課は混雑していることが多く、アポイントメントが1~3か月先になるケースが多いためです。
法務局に書類を申請
申請する外国人の方とともに当事務所の行政書士が法務局に同行し、書類を提出します。
法務局で審査
法務局で審査が進みます。審査中に日本を出国する際は、事前に法務局の担当者に伝える必要があります。
面接
申請してから数か月後、法務省から連絡があり、法務省にて面接が行われます。
これまでの在留歴や、帰化を希望する理由、今後の生活や家族のことなど、提出した書類に相違がないか確認されます。また、日本で生活できるだけの日本語能力があるかどうかもこのときに審査されます。
結果通知
申請の結果、許可だった場合、まずは官報に掲載され、その後、法務局の担当者から、申請された外国人の方に連絡が入ります。
官報に掲載された時点で、すでに日本人となっているため、在留カードは有効ではなくなりますので、代わりに帰化者用の身分証明書を受け取ります。
その後、役所で帰化届を提出し、日本人としての戸籍が発行されます。
日本人としての戸籍発効後、写真付き身分証明書であるマイナンバーカードやパスポートを作成していくこととなります。
申請から許可までの期間の目安は?
現在、申請から許可までの期間の目安は12か月前後です。申請の準備から許可までの間、しっかりサポートさせて頂きます。