【日本在住10年からの永住申請】もっとも一般的な永住申請について
August 25 2023 Updated
このページは、日本に10年以上在住しており、永住申請を検討している方向けのページです。
日本の在留資格「永住者」や永住ビザについて詳しく知りたい方、「帰化」と「永住」の違いなどから知りたい方などは、まず、その1に目を通して頂ければと思います。
日本に永住するためには、「永住者」の在留資格/ビザを出入国在留管理庁に申請し、許可を得る必要があります。
*日本における「在留資格」と「ビザ」の意味は厳密には異なりますが、分かりやすく説明させて頂くためにここでは同義語として使わせて頂く場合がありますので、ご容赦ください。
「永住者」は、活動に制限のない在留資格
「在留資格 永住者(永住ビザ)」は、他の「就労資格(就労ビザ)」と異なり、日本における就労に制限のない在留資格です。
アルバイトでも正社員でも、日本人と同様に一切制限なく就労することができますし、転職も自由です。
在留期間は?
永住者は、無期限で日本に在留することができます。
「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザや、「日本人の配偶者等」の在留資格期間は最大で5年までと在留期間の期限がありますが、「永住者」の在留資格を得た場合、在留期間の期限はありません。在留カード上には無期限の意味で、*年*月 (****年**月**日)と記載されます。
なお、再入国許可(みなし再入国許可含む)を得ずに出国をした場合、「永住者」の在留資格は失効となりますので、注意が必要です。
また、永住者の在留期限は無期限ですが、在留カード自体は7年ごとに更新する必要がありますので、この点もご注意ください。
永住者の要件を満たすためのポイント
法務省が公表している永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)をかみ砕くと、以下の要件を満たすことが永住ビザの許可を得る上で重要です。
原則的に、永住権を申請するためには日本での在留継続年数が10年以上必要です。このうち、就労系、居住系の在留資格をもって5年以上在留していることが必要です。
例えば、日本語学校で2年、大学で4年「留学」の在留資格で在留し、大学卒業後、就職の上、就労系の在留資格「技術・人文知識・国際業務」で4年で合計10年日本にいる方の場合、就労系、居住系の在留資格で4年しか滞在していないため、この条件を満たすことができません。
なお、就労系の在留資格には在留資格「技能実習」および「特定技能1号」は含まれません。他の就労系在留資格のように、学歴や職務経験が求められる在留資格ではないという理由で、永住申請の在留資格要件として認められていないのではないかと推測されます。
現在の入管の方針として、ある程度の学歴や技能を持った方(「技能実習」および「特定技能1号」以外の就労系ビザ保持者)か、家族、婚姻、出産などを通じて日本とより強い結びつきがある方(身分系ビザ保持者)にのみ永住権のドアが開かれている、と言えるかもしれません。
なお、この10年はあくまでも原則で、日本人の配偶者の場合は婚姻生活の継続が3年以上、高度外国人人材の場合は高度外国人人材として1年もしくは3年以上活動している事が認められれば、永住申請の要件を満たす、といったような特例申請はいくつかあります。
素行が善良であること、とは日本の法律に違反して、懲役・禁錮、罰金に処せられたことがないこと、を指します。
よくある質問で、交通違反のペナルティでお金を払った場合はどうなるのかと聞かれることがありますが、交通違反の場合、重い違反は罰金(通称赤きっぷ)、軽い違反は反則金(通称青きっぷ)が課せられることになります。スピード違反などで青きっぷを渡されて、期限内に反則金を支払っている場合には罰金に処せられたことには該当しません。ただ、軽微な交通違反でも、2度、3度と繰り返し違反している場合には、不許可の可能性が高まりますので、注意が必要です。
永住許可を得た後に経済的に困窮し、公共の負担になってしまうことを入管は懸念しているため、会社勤めでも自営業でも構わないのですが、来日してから数年間に渡り安定した収入があり、今後も継続的に収入が見込まれることが必要です。単身者の場合年収300万円以上が目安と言えますが、家族構成や生活環境により年収の目安は異なり、300万以下でも許可が下りる場合もあります。
なお、この収入は世帯収入でも構いません。永住申請者が家事に専念し、配偶者の方が家計を支えているようなケースでも、世帯で食べていけるだけの安定した収入の実績と今後の収入の見込みがあれば大丈夫です。
ここでいう納税義務とは住民税、健康保険/国民健康保険、公的年金を指しており、納期限を守って支払っているかという点を審査されます。納税は「国民の義務」である以上、支払いがあるのは当たり前というのが入管の考えで、納期限を守っているかどうかが大きなポイントです。
これまでの未納分が存在したり、支払い期限を守れていなかった申請者の方は、未納分はすぐに支払い、直近2~3年以上、納期限を守っている実績を作ったうえで、これまでの反省や今後の取り組みを理由書に書くなどの対応が必要となります。
入管は申請者の個々の情報を総合的に判断し、1年、3年、5年など在留期間を申請者それぞれに決定しています。現在の在留資格に関して最長の在留資格をすでに得ているという事は、入管から最長期間の在留資格を得られるだけの信用がその外国人にあると言えますので、この事が永住権申請の要件のひとつに挙げられていると考えられます。
なお、最長の在留期間とは言葉通りに考えると「5年」を指しているのですが、2020年6月現在の運用ルールとしては、当面在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱う事となっています。そのため3年以上の在留期間を得ていれば、本要件を満たすこととなります。
麻薬・アルコール中毒者や、感染症の患者などが、公衆衛生上の観点から有害であると判断されます。こうした病気を患ったことがなく、感染症が発生している国・地域への渡航歴などもなければ、特に何も提出する必要はありませんが、該当する場合は健康診断書などを提出する必要があります。
日本での在留継続年数が10年以上に満たない場合の特例申請
前述の通り、在留継続年数が10年に満たない場合でも、特例での申請が可能な場合があります。特例申請に関しては、このページの一番下、関連記事をご確認ください。
このような場合、審査は厳しくなります!
前述の通り、永住申請は特例がいくつかあるため、それぞれのケースで異なるのですが、永住申請全般で下記のポイントに引っかかった場合、審査が厳しくなる可能性がございますので、ご注意ください。
300万円はあくまでも単身者の収入の目安であるため、同居するご家族がいる場合や海外に扶養家族がいる場合にはさらに多くの収入が必要です。扶養家族1名につきプラス50万円程度を目安に考えて頂ければと思います。
例えば、扶養に入る配偶者1名とお子様が1名いる場合、300万+50万×2名で400万程度の収入が必要となります。
この金額はあくまでも目安です。個々の条件によって、この収入より低くても降りるケースはございます。
この収入額は、申請者の収入でも、配偶者の収入でも、世帯の合計収入でも構いませんが、資格外活動で得た収入は、安定収入とはみなされないため、上記の収入にカウントすることはできませんので、ご注意ください。
直近3年間の年収で、申請者が独立した生計を立てていくことができるのか審査されるのですが、過去の実績とともに重要視されるのが今後の収入も安定しているか、継続しているか、という点です。申請時に転職直後で試用期間中だったりすると、試用期間中で契約満了する可能性も否めず、収入が安定しているとはいいがたい状況です。永住申請する場合は、転職後最低でも1年以上経ってからの申請が望ましいと言えます。
なお、収入が大幅に上がる転職した場合や雇用の安定した大手企業に転職した場合は、試用期間終了後であれば、特に問題にはならないようです。
日本で働く外国人が、海外に在住しているご両親や若いご兄弟を扶養にしているケースは多く、日本人同様の扶養控除が受けられるなどの税面でのメリットもあります。一方、一部の外国人の中には、本来扶養に入れるべきではないご家族(扶養の範囲以上の収入があるご家族や経済的支援を必要としないご家族など)も扶養に入れる事で、本来日本国に支払うべき税を払っていない方がいる事も事実です。
2015年までは証明資料がなくても名前さえ記入すれば扶養控除を受けることができるいう状況だったのですが、この状況を国も懸念し、2016年以降は、国外居住親族に係る控除の適用を受ける外国人居住者は、その国外居住親族に関する「親族関係書類」や「送金関係書類」を会社に提出・提示しなければならないことになりました。
その結果現在は、海外居住の扶養家族が問題視されることは以前より少なくなりましたが、経済的に独立されているご家族を扶養に入れている事が分かった場合、永住審査にも影響があります。海外のご家族が扶養に入られている場合、本当に要件を満たしているかどうかはきちんとご確認ください。
前述の通り、ここでいう納税義務とは住民税、健康保険/国民健康保険、公的年金を指しており、納期限を守って支払っているかという点を審査されます。納税は「国民の義務」である以上、支払いがあるのは当たり前というのが入管の考えで、納期限を守っているかどうかが大きなポイントです。
会社で社会保険に加入し給料から天引きされている方がほとんどだと思うのですが、転職の間、数か月間などの空白があるときの国民健康保険や国民年金の未払いや支払い遅れがないように注意してください。
納期を守っているかどうかは支払いの領収書や通帳の引き落とし記録などを提出することで証明します。
これまでの未納分が存在したり、支払い期限を守れていなかった申請者の方は、未納分はすぐに支払い、直近2~3年以上、納期限を守っている実績を作ったうえで、これまでの反省や今後の取り組みを理由書に書くなどの対応が必要となります。
懲役・禁錮または罰金刑に処せられた場合、永住権の申請をしても許可はおりません。(懲役・禁錮の刑で刑務所に行ったときは10年、罰金刑であれば5年の間に再び罪を科されなければ、その後は申請は可能です)
では、交通違反などの軽微な違反はどうでしょう?スピード違反や駐車禁止違反、携帯電話使用違反などで罰金刑ではなく、反則金を科された事がある人は少なからずいると思われます。1、2回の軽微な違反の場合ではそれだけで不許可とはなりにくいのですが、違反が繰り返し行われている事実が存在し、「素行が善良である」と判断されない場合は、申請が不許可になる可能性が高まります。
車、バイク、そして自転車などを運転される方は交通ルールに遵守するように心がけてください。ご自身でどのような違反をしてきたか、記憶が定かでない場合は、運転記録証明書を取得するとこれまでの違反記録を調べることができます。
日本に継続して在留している事が永住申請の要件ですが、海外出張や個人的な家族の理由などで年間のべ100日以上、または連続して90日以上日本を離れて海外にいる場合、生活の拠点が本当に日本にあるのか疑われる可能性があります。
海外出張やご家族の関係で国外に出る頻度が多かったり、90日以上の長期不在を余儀なくされている方は、その理由を説明する資料を提出する必要がございます。
申請書類リスト
申請書
・永住許可申請書
*申請書はコチラからダウンロードできます。
写真
パスポート
在留カード
住民票
*マイナンバーが省略された住民票が必要です。
申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する資料
以下のいずれかひとつの資料の提出が必要です。
申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する資料
会社等に勤務している場合
個人事業主や会社経営者等である場合
申請人または申請人を扶養する方が個人事業主、会社経営者など自営業の場合は、下記の書類が必要です。
*会社案内パンフレット、ウェブサイトのプリントアウト、営業許可証のコピー、国家資格のコピーなどが該当します。
もしくは
・社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書
*個人としてではなく、事業所における公的年金及び公的医療保険の保険料を納付しているかどうかの確認資料として必要です。
*個人事業主だが、健康保険組合管掌の適用事業所ではないという場合は提出の必要がありません。
直近(過去5年分)の申請人又は申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
直近5年間、毎月住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方
*1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
*市区町村において、直近5年分の証明書が発行されない場合は発行される最長期間分で大丈夫です。
*この納税証明書は税務署から発行されるもので、証明を受けようとする税目について証明日現在において未納がないことを証明するものです。
*上記の税目全てに係る納税証明書を提出してもらえるように税務署に依頼する必要があります。
*給与振り込みが確認できる預貯金通帳があればベターです。
直近5年間の中で住民税が特別徴収(給与から天引き)されていない期間がある方
上記の書類(直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書、納税証明書(その3)、所得を証明する預貯金通帳のコピー)とともに追加資料として、下記の書類が必要になる場合がございます。
*住民税を天引きではなく、自ら支払っていた事を証明するために通帳のコピーや領収書
申請人又は申請人を扶養する方の公的年金の納付状況を証明する資料
直近2年間において会社の厚生年金等に加入しており、国民年金に加入していた期間がない場合
下記のいずれかひとつを提出してください。
直近2年間において国民年金に加入していた期間がある場合
上記のいずれか(ねんきん定期便、ねんきんネットのプリントアウトのいずれか)とともに下記の書類を提出する必要があります。
*領収証書の提出が困難な場合、その理由を記載した理由書を提出する必要があります。
*直近2年間において全ての期間において国民年金に加入していた場合は、直近2年間の国民年金保険の領収証書のコピーのみで大丈夫です。
申請人又は申請人を扶養する方の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
直近2年間において、毎月会社の健康保険等に加入しており、国民健康保険に加入していた期間がない場合
直近2年において、国民健康保険に加入していた期間がある場合
上記の書類(健康保険被保険者証のコピー)とともに、下記の書類が必要です。
*申請時に会社の健康保険等に加入しており、健康保険被保険者証のコピーを提出する方は不要です。
*領収証書の提出が困難な場合、その理由を記載した理由書を提出する必要があります。
永住申請の流れ
永住申請の流れは以下の通りです。
書類提出
管轄の入管に必要書類を揃えて提出します。
審査期間
入管が発表している審査期間の目安は4か月ですが、実際は6か月~1年弱かかる場合がございます。
この期間中に追加書類などが必要な場合は、連絡を受けてからすぐに提出できるようにしておいてください。
結果の通知
許可の場合は通常、ハガキにて申請者もしくは行政書士などの申請取次者に通知されます。
不許可の場合は通常、簡易書留で申請者もしくは行政書士などの申請取次者に通知されます。
万が一、不許可を伝えられた場合、出頭の上、審査官から丁寧に不許可理由を聞く必要があり、リカバリーの可能性を探りながら再申請の準備を進めます。
在留資格の変更
郵送されたハガキとハガキに記載された必要書類を持って、入管へ行き、正式に在留資格変更許可を受け、在留資格の変更手続きをします。申請者の在留カードは「永住者」と記載されたものに変更されます。
標準処理期間
入管が発表している審査期間の目安は4か月ですが、実際は6か月~1年弱かかる場合が多いです。
この期間中に追加書類などが必要な場合は、連絡を受けてからすぐに提出できるようにしておきましょう。