在留資格の変更申請、更新申請において外国人社員に決算資料を見られたくない場合の対処法
2021年2月13日(土)
今日は企業の人事担当者さん向けのお話です。
これから採用予定の外国人、もしくはすでに働いている外国人の在留資格に「変更」が生じる場合は「在留資格変更の申請」が、在留資格の期限が近づき、「更新」が必要な場合は「在留資格更新の申請」が必要です。
多くの場合、入管に書類を持参して提出するのですが、ここで問題になるのは申請自体、原則本人が行うことになっており、そして提出書類の中に会社決算の情報が含まれるため、一般の社員の方に公開していない会社の決算情報が見られてしまう可能性がある、ということです。
このような場合、どうすればいい?
決算の情報は社員に公開している会社もあるかと思いますが、多く中小企業では積極的に社員に開示されていない情報かと思います。
このような場合の解決策として、以下3パターンが考えられます。
1. 決算書類には封をして申請人に入管まで持参してもらう
決算情報以外の申請書類に関しては申請人とともに書類を作成・確認の上、決算書類が記載されている書類のみ封をした形で申請人に提出してもらう、というのがひとつの案です。
入管の受付担当者も会社側の事情は分かっていますので、決算情報が記載された書類に関しては封をした形でも書類の提出が可能です。
ただ、この場合、申請人の外国人が申請前に封を開けてしまうリスクや、何か書類に不備があった場合やその場で封を開けて内容確認が求められた場合に決算情報が見られてしますリスクは残りますので、その点、注意が必要です。
2. 会社内の担当者が「申請等取次者の承認」を受けた上で、外国人の申請人の代わりに申請を取り次ぐ
新規で海外から外国人を採用する場合は、申請人の外国人がまだ日本にいないため、採用する企業の代表取締役の方や人事担当者の方が代理人として書類を入管に持参し、申請することができます。しかし、すでに外国人の方が日本にいる場合は、自分の在留資格のことは自分でやってくださいというのが基本的なスタンスであるため、企業担当者による代理申請や、取次申請は原則認められていません。
しかし例外的に、採用する企業の担当者の方が申請等取次者としての承認を受けている場合は、申請が必要な外国人の代わりに入管への申請を取り次ぐことができ、この場合には、外国人本人が入管の窓口に出頭することが免除されます。
申請等取次者の承認を受けるためには、原則として,出入国在留管理行政に関する研修会等に参加し,同研修会を受講したことを証する文書を提出する必要があります。
3. 申請取次者としての承認を受けている行政書士に頼む
海外から新規で外国人を採用する場合の「在留資格認定許可申請」、外国人の在留資格変更に伴う「在留資格変更許可申請」、在留期限を更新するための「在留資格更新許可申請」、これらすべての申請の取次ができるのが申請取次行政書士です。
一般の行政書士は申請書類の作成やアドバイスまでは認められていますが、申請人の代わりとしての入管への申請取次は認められていません。これができるのが入管業務に関する研修を受け、申請取次者としての承認を受けた、申請取次行政書士です。
特に東京入管は品川駅からバスを使って行き、着いてからの待ち時間も長いために、申請者の外国人にとっても、申請取次の承認を受けた企業担当者にとっても、限りある業務を申請に費やしてしまうのはもったないと考える方も多く、その点で申請取次行政書士に依頼する企業さんが多いというのが事実です。
申請書類の用意やチェック、そして入管への申請の取次までの一式をお願いできるのも、行政書士に依頼するメリットかと思います。