意外と忘れてる!? 外国人本人の届出義務のアレコレ
2021年2月20日(土)
この2021年2月に「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」が改正されました。
「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」とは、外国人の在留資格の変更及び在留期間の更新の許可、不許可を出入国在留管理庁が判断するにあたり、どのような事を考慮しているのかの公表資料です。
全部で8項目が公表されているのですが、この中のひとつで、意外と忘れられている「入管法に定める届出等の義務を履行していること」に関して、今日は説明したいと思います。
すごい簡単に説明すると、在留カードを持って3カ月以上日本に滞在する外国人は、在留カードの記載内容や在留資格の基礎となっている事由に変更が生じた時は、入管にきちんと報告してくださいね、ということです。
報告すべき内容は、下記4つにざっくり分ける事ができます。
住所の変更 (外国人住民として住居地届)
日本に入国をした外国人が新たに住所を定めた場合、もしくはすでに日本に住んでいる外国人が住所の変更をした場合、住居地を定めた日から14日以内に住居地の市区町村で住居地を届け出る必要があります。
住民票の転入届けと何が違うの?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、住民票の転入届は、日本人外国人ともに求められる、役所に対する届け出であるのに対し、外国人住民として住居地届は外国人だけに求められる、法務省(入管)に対する届け出です。法務省(入管)に対する届け出ではあるのですが、便宜的に役所が代わりに届け出を受け取ってくれます。
同じような申請2つもするの面倒だなと思うかもしれませんが、住民票の転入届の時に在留カードを提出すれば、外国人住民として住居地届も同時に完了します。
逆に言うと、住民票の転入届の時に在留カードを提出していない場合は、外国人住民として住居地届は完了していませんのでご注意を。
外国人住民として住居地届が完了しているかどうかは、手続き後に役所から渡されたご自身の在留カードの裏面に新しい住所が記載しているかどうかで判断ができます。
所属機関の変更 (転職や転校など)
所属機関の変更の届け出は、「技術・人文知識・国際業務」「技能」等の在留資格/ビザで会社に雇用されて就労している方や、「留学」の在留資格で学校で学んでいる方が対象です。
「日本人の配偶者等」「永住者」などの身分や地位に基づく在留資格の方に、この義務は発生しません。
「技術・人文知識・国際業務」「技能」「留学」などは、「会社」や「学校」との社会的関係が在留資格の基礎となっている在留資格ですので、その社会的関係に変更があった場合に,その変更について届出してくださいね、ということです。こちらも変更があった時から14日以内に届け出の必要があります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働いている方がいます。前回の在留資格許可時には、A社で働いていました。A社で働いていることを前提として、入管は在留許可を出していますので、A社を退職した時は14日以内に届け出が必要です。そして新しい会社B社に転職が決まった場合、そして、在留資格の更新前にB社を退職した場合も同様に届け出が必要となります。
同様に、学校を変えた場合も申請が必要となります。
所属機関の変更に伴う届け出方法は?
所属機関の変更に伴う届け出方法は以下の3パターンが挙げられます。
コチラの入管のウェブサイト上で届け出ができます。英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、英語に対応しています。
離婚または死別した場合
「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「家族滞在」の在留資格/ビザで在留している外国人の中で、配偶者としての身分が在留資格の基礎になっている場合は、離婚、死別後14日以内に入管に届け出が必要となります。
離婚、死別に伴う届け出方法は?
離婚、死別に伴う届け出方法は以下の3パターンが挙げられます。
コチラの入管のウェブサイト上で届け出ができます。英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、英語に対応しています。
それ以外の変更
その他、氏名、国籍・地域、生年月日、性別などに変更があった場合も14日以内に入管に届け出の必要があります。
届け出方法は、前述の通り、オンライン、持参、郵送が可能です。
届け出義務を怠るとどうなる?
住居地を定めた日から14日以内に届け出なかった場合,、20万円以下の罰金に処せられることがあります。
また、正当な理由なく、入国後90日以内に住居地を届け出なかった場合、在留資格が取り消されることもありますのでご注意ください。
所属機関の変更や配偶者との離婚等に係る届出の必要な方が、その事由が生じた日から14日以内に届け出なかった場合、20万円以下の罰金に処せられることがあります。
届け出義務を怠ると永住申請に影響する?
入管法に定める届出等の義務を履行していることは永住許可の審査ポイントのひとつとなります。
もちろん、忙しくて14日以内の届け出ができなかったなど個別の理由がある方もいらっしゃるかもしれません。
単純に1回、2回、届け出義務を忘れただけですぐに永住不許可とはならないようですが、少なくとも審査の上でマイナスになります。
届け出義務を果たせなかった正当な理由がある場合は、理由書などでしっかり説明したほうが良い場合もございます。