ガイアの夜明け【 コロナショックを乗り切る!“ニッポンの宿”水面下の闘い 】を見て思った話

2020年5月7日(木)

5月5日火曜日に放送された、ガイアの夜明け「 コロナショックを乗り切る!“ニッポンの宿”水面下の闘い 」は非常に見ごたえがありました。

各地のホテル・旅館を襲ったコロナ禍で休業が続出する宿泊施設の様子と、新たな挑戦を追うドキュメンタリーです。京都、新潟越後湯沢などの旅館の窮状と様々な試みも興味深かったのですが、何よりも勉強になったのが星野リゾートグループの今後の施策。

星野リゾート代表取締役社長・星野氏は、

「観光産業を30年見ていて、危機は10年に1度やってくる」
「こういう時こそ経営の力を発揮しなくてはならない。悲しい気持ちになっている場合じゃない」

と気を吐き続け、予約客のキャンセルが相次ぐ中、いかに危機を乗り切るのかの指針を示します。

まず、そもそものマーケット規模の説明から。2019年の訪日外国人による旅行消費額が4.5兆円なのに対し、日本人の国内旅行消費額は20.5兆円と4.6倍の規模。

国境を越えた旅行が現実不可能であるため、まずこの4.8兆円のマーケットはここ1~2年は狙う事はできない。だが、一方で、日本人も海外にいけないため、海外旅行の旅行消費額が1.1兆円のうち、ある程度は海外旅行をあきらめた層が国内旅行にシフトする可能性があり、旅行業界トータルで考えると、訪日外国人がゼロになっても、そこまで大きい影響とは考えていない、とのこと。

これは、インバウンド一辺倒にしていた、もしくは結果的になってしまっていた宿泊施設や観光事業者には耳が痛い話です。以前から一本足打法(インバウンドの売上比率が高い状態)のリスクは言われ続けていましたが、こんな形で足元の弱さが露呈するとは僕も含めて思ってもいなかったでした。

また、国内マーケットについてもホテルまで30分圏内の近場のお客様を主要ターゲットに、いかに三密を避けて、安心安全な宿泊サービスを提供するのか、細部までこだわり続ける姿にさすがだなあ、と。

近隣のお客様にはタクシーでの送迎でまずは人との接触を減らす、チェックインも各部屋で対応し他のお客様との接触を減らし、お食事も各部屋で提供、スタッフが食事の準備で器などに触れる回数も極力減らす、そして、お客様との会話も安全面を考えてミニマムに、という徹底した気配り。

「おもてなし」に代表される、そもそもの日本のホテルサービスの在り方を考えると信じられない内容なのですが、コロナ渦の最中、またポストコロナの時代を考えるとこれが宿泊客にとっては最良のサービス、ということでしょうか。

他の宿泊施設もいろんな施策を立てていると思うのですが、お客様ファーストであるべきホテルのプライドとホテル自身の生き残りを賭けて、この短期間で新施策に打って出るスピード感は多いに学ばなければ。

ポストコロナのホテル業界

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